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CG部 帆足です。
10年ほど前に、京都国立博物館で「没後200年 若冲」展を見て以来
伊藤若冲という画家が好きになりました。
伊藤若冲は江戸の中期、だいたい200年くらい前に活躍していた絵師で、当時の日本画の本流からズレた、独創的で緻密かつ濃密な作品を数多く残しています。
私は子供の頃から百科事典やカタログ、絵本「だるまちゃんとてんぐちゃん」など、色々なものが並んでいる本やポスターを眺めるのが好きだったので、160種類の野菜や昆虫が描かれた若冲の『菜蟲譜』や、150種類もの貝が並ぶ『貝甲図』などを見ていると、”萌え”ます。身もだえます。
今まで見た中で最も好きなのは『紫陽花双鶏図』。(上の写真はその一部)
躍動と静粛が同居する緊張感がたまりません。代表作『動植綵絵』の中の一枚です。
『動植綵絵』は鳥類や魚類、昆虫や植物などが、奇抜な構図と美しい色彩で埋め尽くされた、30幅からなる掛け軸の作品群で、たまーに皇居の三の丸尚蔵館で観ることができます。
若冲の独創性がずば抜けて表れているのが、六曲一双、ペアの屏風で合わせると幅が7mを超える「樹花鳥獣図屏風」です。
作品全体に、縦横約1.2cm間隔で線が引かれ、8万個(!)を超えるマス目で構成された、驚きの作品。
初めて近づいて見た時、まるでデジタルで描かれたコンピューターグラフィックスのようだと思いました。
200年経っても新しいと思える作品、そんなの他で見たことがありません。
“升目描き”といわれる同様の技法で描かれた「白象群獣図」も一見の価値ありです。
(6月8日〜27日の間、どちらも同時に千葉市美術館「伊藤若冲 アナザーワールド」展で観ることができます。)
若冲好きの度合いが年々増してきて、最近では甲賀の山奥まで『象と鯨図屏風』を見に行ったり、『菜蟲譜』のキュートな蛙に会いに栃木へ行ったり、50年ぶりに修復を終えた『花丸図』を求めて金刀比羅宮まで行ったりしています。
今年の秋には京都の鹿苑寺(金閣寺)で『鹿苑寺大書院障壁画』が公開されるかもしれないので、今からとても楽しみです。
若冲が今の時代に生きていたら、いったいどんな表現をするのだろう?
そんな想像をするとわくわくします。